持ち主の思い出

大災害があった時、テレビのニュースでは決まって崩れた家の瓦礫の周りで、ひらひらと写真が舞っている風景を目にします。
あれはどうしてなんだろうと、ずっと思っていました。
でも、ある時、私自身が体験してわかったのでした。
家庭には必ず写真があります。
スナップの場合もあれば、立派な記念写真もあるでしょう。
いえ、何でもないスナップだって、持ち主にしてみたら記念写真なのかも知れません。
それが一人で写った写真であっても集合写真であっても、写真には持ち主の思い出がこもっています。
思い出だけではありません。
その写真を撮った頃のその人の思いも一緒に込められているのです。
その時その時で人間の思いは変わります。
でも根底にあるもの、それは同じなのです。
持って生まれた人間性は簡単に変えられるものではなく、表面で変わったように見えても、そしてたとえ本人が変わったと言っていてもその人の根底に息づく血液は同じです。
だからこそ、昔の写真やその時々の写真を見た時、しばし言葉をなくし、写真に見入るのだと思います。
大掃除している時に写真が出てきたら、作業が進まなくて困るのが殆どの人だと思いますが、それだけ昔を懐かしみ当時の思い出に浸っているからなのです。
あの阪神淡路大震災の時、我が家は大変なことになりました。
マンションは何とか半壊で済みましたが、家の中は全てのものがひっくり返り手のつけようがない位の惨状でした。
物への執着がスーッと醒めてしまったのはこの時です。
もう何もいらないと思いました…。
全て捨ててしまおうとも思いました。
でも、現実にはそうはいかないので片付けなければなりません。
どこから手をつければいいんだろうと呆然と眺めていたら、ふと目に入ったものがあります。
それは写真でした。
バラバラの状態で、あっちにもこっちにも…。
あ、これか!と思いました。
こんな光景どこかで見たと思ったら、テレビのニュースです。
地震や台風で崩れた家の瓦礫のそばで風に彷徨っている写真です。
不思議だったあの写真はこういうことだったんだとわかった瞬間でした。
アルバムに整理する時間がなくて、棚にきちんとしまってあった大事な写真でした。
地震で棚が倒れ、中の物が全て放り出され、そしてしまってあった写真もバラバラになって放りだされたのです。
我が家のその写真は家族写真でした。
ハワイ旅行に行って輝く笑顔の夫と私と息子です。
何の変哲もないスナップ写真ではありましたが、我が家の初めての海外旅行の記念写真でした。
物は要らないと思いましたが、写真は何よりも大切です。
この時、私はその家の写真がどんなに大切な財産なのかを知ったのです。
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